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何が自分をここまで駆り立てるのか・・・ [本]

11月17日が、義母の命日でした。
3年が経ちました。 あっという間でした。

昨日(金曜日)から、かみさんが大阪に戻っていて、子供らと私の、久しぶりの男だけの生活をしています。
ただ、長男は大学とバイトが忙しくて最近ほとんど会っていない・・・(生活時間帯が全く違ってきた)
次男はいよいよ大学受験に気合いが入ってきて、土日ももちろん無しで、毎朝 高校の自習室か予備校に通い、未だかつて見たことのない程(!)、勉強に集中しています。

義母の命日に近くなると、同時にあのころの私の仕事がもうどうしようもないほど手に負えなくなってきていた状況も思い出してしまい、ここんとこ、酒の量が増えてきてしまっています。

さっき、あれ以来開いたことがなかった、当時のシステム手帳をめくりました・・・
自分の荒れた筆跡、尋常でないスケジュールの書き込み・・・ 殴り書き そして告別式の予定・・・ 
告別式が終わったあと、余韻を感じるまもなく最終の新幹線でひとり横浜にとんぼ返りし、翌朝早朝、群馬の病院まで車を飛ばし・・・ そこでまた、これまでの医療業界での私の営業スタイルを若蔵の技士に全否定され、人生で初めて土下座までして全責任は私にある と謝罪しても受け入れられなかったこと・・・最悪の日々でした・・・

もうなすすべもなく、どん底に突き落とされ、そしてまた、命の恩人である私の主治医に救いの連絡をし・・・

そんなことがあった今頃だからなのか、気持ちがすさんでいるからなのか、若い頃の「熱い自分」を思い出したかったからなのか、今読んでいる『沈まぬ太陽』 どうしても映画を見たくて、今日、息子ら2人が早々に出て行ったあと、私も9時過ぎにうちを出て、横浜のシネコンに、それこそ何十年ぶりかで(!!)映画を見に行ってきました。

PB210080.jpg

『沈まぬ太陽』 3時間半近くの大作です。
途中、10分間のインターミッション(休憩)が入ります。

長い映画なので、一日3上映。 一本目は10時15分から。

最近は皆、DVDで自宅で映画を見る人が大半なんだろうなぁ・・・と思っていましたが、案の定、客席は2/3程度の入り・・・
しかも、ほとんどが私よりもご高齢の方です。

文庫本は今、3冊目 『御巣鷹山篇』の真ん中あたり。
本当は、全5冊を読んでから・・・とも思っていたのですが、とにかく渡辺謙の主人公を見たかった 

映画については、まだ公開中ですので詳細は控えます。
ただ、特に休憩を挟む前、前半では、自分の頬が乾く暇がありませんでした・・・
まわりでも、鼻をすする音、咽び声、シルエットながらハンカチで目頭を押さえている人・・・

映画を見ながらも、色々と思いました。
・・・この、見に来ている人たちの中にも、当時J○Lの社員だった方がいるのかなぁ・・・
・・・ご遺族の方も、ひょっとしたらいらっしゃるのかなぁ・・・
・・・こんな、「国営航空会社」の内情を暴露するような小説を書いて、訴訟やら弾圧を受ける事はなかったのかなぁ・・・

キャスティング、かなりはまっていました。
主人公 恩地元(渡辺謙)の奥様(鈴木京香) とてもよかった・・・ 高度成長期の当時の奥様は、皆こうだったのかなぁ・・・
インターミッションまでの前半は色々な場面が入り交じりますが、基本的には、主人公 恩地元と同期で、労組で委員長・副委員長として力を合わせ運航の安全と職場環境の改善を要求し共に戦った親友が、主人公のみが僻地左遷人事を受け、その後10年近く中近東からアフリカをたらい回しされ、残る側は、(本人の意思に反して??)会社側の人間に翻り出世街道を進んでいく・・・

色々あって主人公が10年後にようやく東京本社に戻ると、元の労組はずたずたにされていて、結果、あの御巣鷹山の大惨事が起きる・・・ 
この事故後の対応でも、主人公と、今や出世した元同期とで完全に意見が食い違う・・・

ただ、主人公が左遷されたときにはまだ小学生だった長男、一時期は僻地の父親のところで家族4人そろって生活していたが、日本人学校もなく、小学校も高学年になる 左遷人事も予定外に延長延長が続き、結局母親と兄弟2人は帰国するが、編入した小学校で差別を受け屈折してしまう・・・ お父さんを恨む・・・

それが、長男が社会人になり、これほどまでに差別を受けながらも会社を辞めないで社員のためだけを考えてきた親父の背中をずっと見続けてきて、その生きざまが理解できるようになり、安い牛丼やで親父と二人 牛丼をかき込み、親父が、「今日は一人で飲みたい気分だから、これからちょっとぶらっと飲みに行く・・・」というと、「しょうがないなぁ、じゃあ、オレも付き合うか・・・」と・・・

ここはまた、声が出そうなくらい泣けました・・・
私自身、若い頃は「真っ直ぐ」な人間で(今でもそうかもしれません 不器用なのです)、上司だろうが顧客だろうが、納得できないことは、納得できるような説明をもらわない限り嫌々動く ということはできませんでした。

でも、私も社会経験がある程度長くなり、子供ができて、彼らがある程度ものの分別が付くようになった頃、タイミング悪く 私が会社に負け、うつになり、うちに籠もり、親父としての機能を全く発揮できなかった・・・ 私は、会社組織に「負けた親父」を彼らにさらけ出すしかできなかった・・・
・・・だから、この映画のような息子との話は、できないんだろうなぁ・・・と、そのことで涙があふれてしまいました。
この場面は、本筋とは離れてしまうのかもしれませんが、とても印象に残る場面でした・・・

後半は、会社建て直しの場面がほとんどでした。
ここはまだ、読んでいないのですが、ああ、こんな展開になるのか・・・ と。

全5冊読み終えたらまた、記事にするかもしれません。

映画のクライマックスは、これはハッピーエンド なのかどうなのかは、見る方それぞれだと思います。

だた、とても穏やかなエンディングだった・・・と私は感じた ということだけ、お伝えします。

小説は果たしてどんなエンディングなのか・・・
楽しみです。


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コメント 11

のろ

長い映画、ご苦労様でした。
親子の絆の所では、色々考えさせられちゃいましたか。
私には子供もいませんので、ピンとは来ないですが、色々思い起こさせることがあるんでしょうね~・・・。
by のろ (2009-11-22 10:29) 

mistta

「沈まぬ太陽」を読んでいない私ですが、仮に映画が原作の”改竄”を
していても、ラストで報われるという計らいは、映画ならではの”手心”であり、見る者に救われた気持ちを与えてくれて良いと思います。
by mistta (2009-11-22 19:52) 

大将

どうも相変わらずRSSがおかしいのか
この記事が更新されたのに全然気づかないでいました、すみません

高度成長期。。。
人が人の心を忘れ肉の塊のまま、ただ会社の部品になり
心身が壊れ完全に破壊されるまで動きまわる時期ですね
そう考えると今のhidechanさんの環境は
もしかしたら収入と言う面では以前よりは。。。
と言う部分も有るかも知れませんが(失礼)
気持ちという部分ではもしかしたら少しづつ人に戻れるかもしれませんね
ってかなり失礼な事言ってますねm(__)m

映画は映画宣伝で学校の体育館らしきところに
棺が数え切れないくらい並ぶシーンを観ました
中は空だと言う事ですが、何か胸にこみ上げる感じがしました
そしてそのシーンはきっと事実を元に作られている場面
大将自身は遺族でもなんでも有りませんが
映画館で涙流すのがはじゅかちぃ(>_<)
きっと色々と問題を投げかけるすばらしい映画なんでしょうねぇ
by 大将 (2009-11-28 18:16) 

井上酒店

hidechanさんの生きざまは、ちゃんと息子さん達に届いていると思いますよ。貴方の子供です。信じてあげて下さい。きっと今頑張っている事も理解してくれていると僕は思いますよ。
by 井上酒店 (2009-11-28 23:00) 

hidechan

のろさん、ありがとうございます。
ずいぶんレスが遅れてしまい、申し訳ありません・・・

この映画は、大きなテーマがいくつかあるのですが、その複線として、主人公家族が、ある時期とてもよくない状況になるのですが、それが子供達が成長して行くにつれて、親父がどんな仕事をしてきたのか あちこち僻地に左遷させられながらも会社を辞めずに、ずっと家族のことを思い、会社の仲間のことを思い、空の安全のことを思い、そんな父親の背中をずっと見てきた子供達が、最終的には親父を誇りに思うようになる この流れが、私はとても感動しました。


by hidechan (2009-11-29 00:12) 

hidechan

misttaさん、ありがとうございます。
ずいぶんレスが遅れてしまい、申し訳ありません・・・

そうですね。
私は文庫本の方は、ようやく第三部の「御巣鷹山編」を読み終え、ご遺族との補償問題のこじれ、J○Lと製造・修理元であるボ○イングを告訴する第四部に入ったところです。
第三部は、本当に読むのに時間がかかりました・・・ 想像を絶する悲惨な状況・・・ 当分、飛行機には乗りません。

ただ、記事でも書かせていただいたように、「映画」のラストはとても穏やかなものでした。 ・・・と私は感じました。


by hidechan (2009-11-29 00:18) 

きゅんぱち

hidechanさん御自身の仕事人生のありようと、映画がオーバーラップするわけですね、なるほど。
涙腺がゆるみっぱなしになるのも無理はないですよ。
それが自分を守ろうとする本能的な生理現象なんですもん。
by きゅんぱち (2009-11-29 00:28) 

hidechan

大将さん、ありがとうございます。

大将さんのおっしゃるとおり、今の自分は、収入・・・これは想像を絶する(!!!!)激減で、家族には申し訳ない事をしてしまってますが、私自身は、毎日平均して穏やかで、会社の上下関係に悩み、胃を痛くすることもなく、更に自分で何でも「勉強してみようか・・・」と思えるような「気持ちの余裕」ができたことに本当にありがたく思う毎日です。
「本来の人間」に少しずつ戻っているのかな・・・とも思います。

映画の体育館の場面ですね。
ここも悲惨な場面でした。
何しろ真夏の大惨事・・・ 一度に520名の尊い命が亡くなってしまった。
真夏なので、ご遺体の損傷(腐敗)もひどかった・・・
しかも、減速せずに山に激突したため、シートベルトによってほとんどの遺体が下半身断裂、前席に顔面をとてつもない力で強打したため、頭部のないご遺体もとても多かった 更に燃料満載であったため、遺体損傷もひどいものだった・・・
あるご遺体の挫滅した「頭部」のなかから、別のご遺体の顎が見つかったり・・・
手首だけの「部分遺体」から、ご主人を捜し出した・・・ それはいつもご主人の爪をみていたから 間違いない・・・ 夫婦の愛情 とても深い愛情を感じます・・
ああ、こうして書いているだけで、目頭が熱くなってきてしまいます・・・

私も、ご遺族でも何でもない、ただ新聞や本で読んだだけの者です。
でも、この本を初めて読み(まだ読み終わっていませんが・・・)、映画を見たこと よかったな と思っています。
by hidechan (2009-11-29 00:35) 

hidechan

きゅんぱちさん、ありがとうございます。

そうですね。
この映画をみる「姿勢」が、私の場合はちょっと違っていたのかもしれません。
高度成長期のサラリーマン、きっと、私の親父も、日々こんな「戦い」をしていたのかもしれません。
特に私の場合は、自分自身が「壊れてしまった」時期があるので、主人公に対する「憧れ」と「尊敬」の気持ちがとても強いものがあるような気がします。

それと、サラリーマンはつきものの「勝ち組」と「負け組」・・・
結局主人公の最後は・・・ これは、私は明らかに「○×組」と思うのですが、これまた思うところは人それぞれなので、この場で書くのは控えるようにします・・・

私にとっては、もう十数年ぶりで映画館に行って見た映画でした。
久しぶりに、いい映画を見たな・・・と思っています。
by hidechan (2009-11-29 00:48) 

TAKA

こんばんは
ご子息は、hidechan さんの前向きな姿勢をきちんと見てくれて
いると思いますよ。
by TAKA (2009-12-01 02:06) 

hidechan

TAKAさん、ありがとうございます。
・・・どうなのかなぁ・・・
幸いにして、私の息子らは今のところは(若干あるにせよ・・・)真っ直ぐ正しい方向に成長しているような気がしています。
たまーに、彼らと話しをするのですが、思っていた以上に世の中の状況もわかっているようだし、親父(私)の仕事も実際見ているので、ちょっと安心・・・
まあ、私自身が「反面教師」になりきって、親父みたいな仕事はやりたくない と思えば、それも良し・・・と、考えています。
by hidechan (2009-12-01 23:29) 

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