病院 脳波研究のお仕事・・・ とりあえずシステム構築は完了か・・・ [勉強・研究]
5月27日(木)、ちょっと緊張しながら朝9時に病院到着・・・
色々な使い方を想定し、ある程度広範囲に対応できるようにケーブル類、変換BOX、アンプ等を準備し、万全の体制(?)で望みました・・・
私 「先生、おはようございます。」
ドクター 「ご苦労様。 あのね、今日、A先生、どうしても緊急のお仕事が入ったらしくて、今日はパス。 来月に入ってから改めて来院されることになったんだ」
私 「・・・(かなり安堵・・・)(緊張がかなりほぐれる・・・) よかったです・・・ 実は私も色々と試したくて準備してきました。 なので今日は、システムの最終チェックと、接続テストをさせていただきたいのですが・・・」
ドクター 「オッケー オッケー。 ヨロシク頼むよ・・・」
・・・ということで、この日は、ドクターの恩師であるA先生は来院されないことになり、またじっくりとテストできることになりました。
テストの項目も、ある程度決めてきましたので、効率よくチェックしていくことにしました。
まずは、準備してきたケーブル類、アンプBOXのテスト。
・・・順調です。
心電図は、健康診断でも必ず受診するので大体イメージはつかめると思うのですが、脳波は、心電図ほどいつでも行う検査ではなく、結構時間がかかります(30分程度)。
(自分で見ても、思わず吹き出してしまうような表情・・・ 目がトロ~ンとし、頭からは何本も電極が生え、変ですよねぇ・・・)
- β波(ベータ波) 13Hz以上 (fast wave)
- α波(アルファ波) 8Hz~13Hz
- θ波(シータ波) 4Hz~8Hz (slow wave)
- δ波(デルタ波) 低周波成分(0.5Hz~4Hz)
上の写真は、アルファ波を取りたいために、自らできるだけリラックスさせた状態 の写真です。
この状態で閉眼・安静すると、アルファ波が計測されます。
機械の操作をしながらアルファ波を出すのは結構至難の業なのですが、閉眼すれば割と簡単に出てきました。
(思っていた以上に、頭が元気になっている・・・なんて思いました)
で、データレコーダの記録もオッケー、ペンレコーダへの記録もオッケー・・・
お昼過ぎ(この日は、朝からこの状態で、電極ぶら下げて院内うろうろしていました・・・)ドクターがいらっしゃいました。
で、私の脳波を記録したペーパーを読み出す・・・
・・・ドクター、急に「ドクター」の顔に・・・
(・・・ 異常波が出ているのか・・・ 心配・・・)
ドクター 「技師さん、患者さんの脳波いくつか見せて・・・」
私 「・・・心配・・・」
ドクター 「・・・ほら、hidechanさん、ちょっと見て・・・」
・・・と、普段の検査データと、今記録した私の脳波を見比べる・・・
私 「・・・先生、よくわからないけど、正直なところ、私の脳波記録の方がきれいに書けている気がするのですが・・・」
ドクター 「そうなんだよ!!!! hidechanさんも、まだ脳波忘れてなかったね。 これは、明らかに違う。」
私 「これは先生、ひょっとして、デジタル脳波計のサンプリングノイズが悪さしているんじゃないですか・・・」
ドクター 「・・・きっとそうだね! これは気が付かなかった・・・ やっぱり、アナログ波形の情報量は圧倒的だね・・・」
ドクター 「A先生が、『RAWデータを必ず記録しろ』って、ずっとおっしゃっていたことが、初めてわかった・・・」
これは何を意味しているか というと、オーディオで云うところの、「レコード」と「CD」の違い そのものです。
アナログレコードは、確かにハンドリングは悪いかもしれませんが、可聴範囲外の低音や倍音成分が豊富に記録されていて、音が暖かく、とても心地よい音楽を聴くことができます。
CDは、人の耳には聞こえない倍音成分をカットしデータ量を小さくしている なので、レコードに比べると、薄っぺらい音に聞こえてしまうのです。 でも、ハンドリングは優れている。
これと同じことが、昔の脳波計 と、現在主流のデジタル脳波計にも当てはまる ・・・のです。
これはどうなんでしょうか・・・
測定条件は全く同じ。(電極は同じ技師さんに付けてもらいました。 同じ脳波室。 違いは、検査に使っているデジタル脳波計と、調整中の「二世代前の」アナログ脳波計・・・)
これからは大変でした・・・
ドクター、色々と実験が始まりました・・・
経験したことのない様な負荷テスト(色々な刺激をかけられました・・・)、開眼・閉眼、眼球運動等々、あらゆるテストを受け、夕方にはさすがに疲労困憊・・・
そんな脳波も出てきたようで、「hidechanさん、かなり疲れてきたね・・・」な~んて、こんなことも脳波でわかるんですよ。
問題点・修正点も多々出てきました。
データレコーダのキャリブレーション、大学から移設した脳波アンプのキャリブレーション等々、システムができあがったからこそ、細かな調整点が明らかになり、いよいよ大詰めです。
コンピュータ部分は、予め私が調べたいくつかのソフト会社のカタログをダウンロードし持参しました。
早速、ドクター電話攻撃・・・
来週木曜日、その中のひとつがデモに来院。 「hidechanさんも、オブザーバとして同席してね」・・・
ようやく終わりが見えたか・・・と思っていたら、なんと、プロローグが終わり、これからがメインイベント・・・
まだ、しばらく続きそうです。
すごいテストなんですね。
色んな波長があることは、初めて知りました。
また、時間がいただけたということは、より完璧に近い常態で
自信を持って取り掛かれるので助かりましたね。^^;
by ソニックマイヅル (2010-05-30 17:32)
今日は。hidechanさん凄すぎです・・・。
by mistta (2010-05-30 18:17)
脳波の4パターン。名前は聞いたことはありました。
でも、hidechanさんはやっぱりすごいですね~・・・(^_^;)。
まだオブザーバーで参戦なんですか。
疲れが、データとして表れるというのは、おもしろいところではありますね(^_^;)
by のろ (2010-05-30 23:15)
ソニックマイヅルさん、ありがとうございます。
実は、この脳波の周波数成分の多さ、少なさで、睡眠状態の把握、夢を見ているのか、緊張しているか リラックスしているか、集中しているか・・・等々の状態が、本人の意思にかかわらずある程度判定できるのです。
また、(私も経験した)うつ状態にあるのか 等の、診断資料にもなるのです。
頭の中は、まだまだ解明されていない部分が多く、今は、MRI、ファンクショナルMRI等の「画像診断」がとても進歩し、ビジュアル的に解明されることが多いのですが、今回、改めて感じたのは、「脳波」の情報量も、まだまだ捨てたもんじゃないんだなぁ・・ということです。
これからどう展開していくのか・・・ 楽しみでもあります・・・
by hidechan (2010-05-30 23:56)
misttaさん、ありがとうございます。
・・・そんなことありませんよ・・・
今の私のスタンスは、正直なところ、とてもリラックスしてお手伝いができています。
直接、関わるわけではなく、かといって、全く知らないわけでもなく、更に幸いにして、二昔前の知識でも、なんとか通用している・・・
記事でも書かせていただいたのですが、何でもかんでも「デジタル」にすればいい・・・というわけではないことが、今回よくわかりました。
アナログ情報が持っている情報量の多さ・・・は、やはりすごい物があります。
by hidechan (2010-05-31 00:00)
のろさん、ありがとうございます。
そうですね・・・ 特に、「アルファ波」は、よく耳にすると思います。
これは、リラックスしているか・・・の、指標になります。
セルフコントロールで、アルファ波 を出せるようにする治療法もあるようです。
逆に、頭が疲れてきている・・・ 状態も、脳波を見れば、ある程度判定できます。
それは、脳波自体の「低振幅」等、色々な反応が出てきます。
脳波は、嘘はつけません・・・(笑)
by hidechan (2010-05-31 00:04)
なんだか、難しすぎて僕の知能では、よく分かりませんが、やっぱりhidechanさん凄い人ですよね。やっぱりこの道を歩む方が良いような気もしますが・・・。でも色々難しい問題もあるでしょうから、僕がとやかく言える事ではありませんが、一番hidechanさんが活き活き出来る事をして欲しいです。
by 井上酒店 (2010-05-31 00:27)
井上酒店さん、ありがとうございます。
・・・実は、自分でもちょっとまた迷いが出ているところです。
今まで、医療業界を離れてはまた戻り、また離れては戻り・・・を、2回繰り返しました。
今回は、完全に医療業界に戻ったわけではなく、しかもサラリーマンではない状態なので、割と気楽にリラックスして考えているところです。
ひょんなことから、しばらくの間、また病院でお手伝いすることになったのですが、やっぱり自分は医療業界が好きなのかなぁ・・・ と思う日が続いています。
ドクターがやりたいことが結構見える・・・
だから、自分でもいろいろとアイデアが浮かんで、提案して、それを具体化することが楽しい。
しかも今回のテーマは、私自身辛い思いをした精神・神経関連でもあるので、こんなことがわかれば、患者さんのためにもなる・・・ という自分の経験・視点も役に立つ。
今の私の立場は、半分お仕事、半分趣味(ちょっと言い方が悪いですが) こんなゆるゆるの立場だから、お気軽に続けられる。
きっとこれが「仕事」になると、また気持ちの置き方も日々の動きも変わってきて、「義務感」が支配しだし、そうすると「楽しい」気持ちは当然なくなる。
そうなるのが目に見えていて、そうなるのがイヤだから、今のゆるゆるの状態に身を任せている、「ずるい」自分がいる のが正直なところです。
今回のドクターのロードマップは、実はかなり壮大なスケールなのです。
それは、6月20日、このドクターの恩師であるA先生を交えての(私も同席することになっているのですが)ディスカッションで、更に明確になるのです。
その時に、私自身のスタンスを、自分でどう考えるか・・・ ここんとこ、ずっとこれが頭を離れません。
by hidechan (2010-05-31 19:04)
響希さん、はじめまして。
ご訪問&niceありがとうございます。
これからもよろしくお願いいたします。
by hidechan (2010-06-01 16:01)
thisisajinさん、はじめまして。
ご訪問&niceありがとうございます。
これからもよろしくお願いいたします。
by hidechan (2010-06-01 16:02)
レコードにしても銀塩写真にしても
最近はアナログが見直されていますよね
なんともCDが世に登場してオーディオをやめた身にしてみれば
嬉しい事
それが医学の世界でもあるんですねぇ
それにしてもトロンとした怪しい目、、、笑っちゃいけないんですよね
トロンと言ってもエラー探しでは有りませんね
by 大将 (2010-06-03 21:21)
たかれろさん、ご訪問&niceありがとうございます。
by hidechan (2010-06-04 16:34)
大将さん、ありがとうございます。
そうなんです。
ドクターも私も初体験。
ハンドリング重視で圧縮し、間引きされ捨てられたデータの中に、大切な部分がないとは言えない・・・ 本当にこれで良いのかなぁ・・・ と思いました。
前職は医用画像を扱っていたのですが、その時も、ごく初期の肺癌の画像、ごく初期の乳ガンの画像・・・は、従来のレントゲンフィルム診断がまだ主流でした。
理由は、「画像を圧縮し、データを間引くと、初期癌の影を切り捨てる可能性がある・・・」でした。
・・・やっぱり、写真、載せなければよかった・・・
(脳波検査がどんなものか をご覧頂きたかったので・・・)
by hidechan (2010-06-04 16:44)
そっか・・・hidechanさんなりに色々と試行錯誤してる訳ですね。でもそんな「ゆるゆる」で良いんじゃないですか?別にずるいとは思いませんよ。ただ、ゆるゆるでも、途中でほっぽらかすとかは良くないとは思いますが、hidechanさんの今のスタンスで、もしこんな仕事が出来るなら、本当にhidechanさん自身が苦労した事や、経験が、他の患者さんに生かされ、凄く良いかも知れませんね。まぁ、でも、余り考え込まず「ゆるゆる」で行きましょ!そんな人生も有り!だと思います。
by 井上酒店 (2010-06-08 00:20)
井上酒店さん、ありがとうございます。
>でもそんな「ゆるゆる」で良いんじゃないですか?別にずるいとは思いませんよ。
・・・そうなのかなぁ・・・ 今の自分のようなスタンス、こんな形で医療機器を触るのは初めてなので、どうしても ずるい と思ってしまいます。
こんなスタンスで本当に良いのかなぁ・・・
でも実は、今月中には、もうちょっと自分の立場をはっきりさせなければならなくなるのです。
それは今、ドクターにもちょっとずつ相談させていただいているところです。
by hidechan (2010-06-08 18:51)