SSブログ

からくり儀右衛門とロボット工学とロボコンと・・・仏教? 森政弘先生 [本]

小学校の頃は、毎月の「小学○年生(小学館)」と、「科学」「学習」(学研)がとても楽しみでした。

本自体の内容はさておき(!)、とにかく付録が楽しみだった・・・

小学○年生の付録は、大体 厚紙で色々な建物や道具を工作する。
「科学」の付録は、今考えてもかなり高度な付録(工作する物よりも、モーターやアリの巣の観察、ポンプや水鉄砲等々)が多かった。

小学○年生は、近くの商店街のちっちゃな本屋さんの親父が、毎月、自転車の後ろのでっかいかごに入れて、丁度学校から帰ってくる頃に配達してくれた。
「科学」と「学習」は、毎月小学校の下校時刻に、体育館でもらってうちに帰った。

そんな小学校低学年の頃、どうしてもこの本が欲しい ってお袋に頼み込んで、隣町(?)の大きな本屋さんまで連れて行ってもらって、初めて買ってもらった本があります。

本を読んだのが先か、テレビで見たのが先か は忘れてしまったのですが、確か毎週何曜日かの夕方、NHKで30分くらいの「ドラマ」仕立て(!)の番組が待ち遠しくて待ち遠しくて・・・

それが、「からくり儀右衛門」 (田中久重 江戸時代~明治時代の発明家。 現 東芝 の創始者) の本です

今でも一番大切にしている本です。

「からくり儀右衛門」
著者 横田弘行
発行所 (株)朝日ソノラマ
ハードカバー 昭和45年1月20日 初版発行 390円。

・・・カビくさいです・・・(笑)

からくり儀右衛門

この本とテレビドラマで、工作(破壊?)に目覚めたんだと、今でも確信しています。

点滅する照明(廻り灯籠の仕組み)や、万年筆(筆の軸にフキの繊維を仕組んで、筆の反対側につけたちっちゃな瓢箪の中の墨を筆先まで染みこませる)、和時計 等々・・・ 

今 読み返してもワクワクする内容です。

で、この儀右衛門が、丁度 日本地図作成のために全国を測量中の伊能忠敬 の時代とオーバーラップするのですが・・・

儀右衛門のことを書き始めると止まらなくなってしまうので・・・

とにかくこの本を読んでからは、物を造ること(壊すこと 分解すること)にとても惹かれ、鉄腕アトム世代でもあるわけで、ロボットに興味が移ってくるのです

当時、素人でもわかるように書かれた「ロボット」や「サイバネティックス」、「生体工学」の本はあまりなく、「見つけた!」と、飛びつくと、結果的にそのほとんどが、「森 政弘」先生 の本であることに気づきます。

「発想工学のすすめ」と「ロボット」


森 政弘先生 は、東工大でロボット工学の名誉教授。

当然、「どんな先生なのかなぁ・・・」って、ある意味「憧れ」の気持ちを持つようになります。

丁度この頃から、テレビのサイエンス番組の解説等をされることが多くなり、
その柔らかな語り口や、とてもわかりやすい説明で、大好きな先生となりました

今では、工学系学生のオリンピック(?)的な位置付けとなった「ロボコン」の創始者です。

森 政弘先生 の著書は、そんなわけで私の本棚にはかなりあるのです・・・

結果、私は高校からやっぱりロボットを専門的に勉強したい という思いが強くなり、大学ではそれにかなり近い研究室で過ごし、社会人になると今度は、生体工学に興味が移行して、医療業界でのお仕事が長くなったのですが・・・

(話しを元に戻します・・・)
実は先日、捜し物があって書店をブラブラ・・・
ふと気が付くと、新書の新刊コーナーに、久しぶりにこの先生のお名前を発見・・・

が・・・

「仏教云々・・・」

・・・同姓同名の違う著者なんだろうなぁ・・・ と、
でも気になって何度もその前を行ったり来たり・・・

親子のための仏教入門
やっぱり気になってちょっと手にしたら、間違いなくロボット工学博士の 森 政弘先生 ・・・
ちらっと立ち読みをしたら、なんと1972年頃から、専門的に仏教の研鑽もされていると・・・


もちろんこの本は買って帰り、早速読んだのですが、いつにも増してわかりやすい文章。
仏教とロボット工学が、全く違和感なく存在している。
 
昔の本をひっくり返して著者欄をみると、今更ながら初めて気が付きましたが(!)、
昔のどの本にも、「・・・仏教への造詣も深い」 とあります。
 
この本、押しつけがましい宗教色の強い 嫌らしい本 ではなく、やっぱり基本は、工学的な「物を見る目」を通して、
「・・・でしょ・・・ ところがこれは、そうなるべくしてそうなっている・・・」
というような(なんだかわからないですねぇ・・・)、自然な流れで仏教の入り口 を説明してくれています。
 
ちょっと疲れたなぁ・・・ って云うときに読むと、疲れが取れるような、そんな内容のわかりやすい本です。

親子のための仏教入門―我慢が楽しくなる技術 (幻冬舎新書)



nice!(9)  コメント(21)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 9

コメント 21

大将

小学〇年生!学習!科学!!
同じ世代ですねぇ
大将も大好きでした
それにしてもhidechanさんは本当に物持ちが良いですねぇ
大将も子供の頃って今では想像できないくらいに
身体が弱くて(本当なんです)超インドアな子供
たまに外に出ても男の子と遊ぶ体力が無く
女の子とばかり遊んだものです
家にいると、本(活字も漫画も)ばかり読んでいました
でも、今ではその本たちはどこに行っちゃったかなぁ
by 大将 (2011-04-14 20:30) 

hidechan

のろさん、ご訪問&niceありがとうございます。
・・・私が物を壊すのが得意なのも(!)、この本のお陰です・・・(???)
by hidechan (2011-04-14 22:22) 

hidechan

kiyoさん、ご訪問&niceありがとうございます。
とてもハイセンスなお写真、いつも楽しませていただいています。
by hidechan (2011-04-14 22:24) 

hidechan

大将さん、ありがとうございます。

同世代の大将さん、きっと食らいついてもらえる・・・と、狙っていました(爆)

本とレコード、特に本当に気に入った物は、今まであちこちお仕事で引越をしてきましたが、ずっと大切にしてきました・・・

特にこの本は、小学校3年生(・・・くらい)の時に、バスに乗って(!)、お袋と一緒に隣町のちょっと大きな本屋さんまで連れて行ってもらって買ってもらった本で、本屋さんでこの本を見つけたときのとても嬉しい気持ち と、お袋と一緒に買いに行った という記憶も重なって、なんだか知らないうちに、本棚の中での最古参になっています(笑)

本を開くと・・・まずはカビくさい(!)
すべての漢字に、ルビが振られています!
活字も大きくて、加齢的必然的不可逆的視力低下(しつこいですね!)の現在でも、安心して楽に読める とてもいい本です(爆)

私も、特に小学校低学年の頃は、身体が弱かったんです。
運動会 大嫌いでした(笑)
給食も、いつも食べるのが遅くて、パンも全部食べられなくて、ほとんど毎日、持って帰っていました。

小学校高学年になる頃に、バスしかなかった私が住んでいる街に都営地下鉄が開通し、池袋の近く、巣鴨(すがも)というところまで20分くらいで行けるようになった。

で、当時は探してもここ(巣鴨)にしかなかった、スイミングスクールに通わされるようになる・・・
毎週、水曜日と金曜日の夕方。
それまでは、学校の夏のプール開きも大嫌い、もちろんプールも大嫌い、いつも唇を紫色にして、弱々しい男の子 だったのですが・・・

この、巣鴨にあって、通い始めたスイミングスクールが・・・
なんと・・・
今や世界の 北島康介 を送り出した 「東京スイミングセンター (TSC)」なんです。

ここに通い出してからですね・・・ 
水泳が好きになって自信が出てきて、少しずつ活発になって、身体も元気になってきた・・・
基礎コースが終わって、選手養成コースに上がった・・・

今、水遊びが好きなのも、きっとこの経験があったから。

やっぱり、今は亡きお袋に、感謝ですね。




by hidechan (2011-04-14 23:10) 

のろ

んー。なんだか羨ましいですね。本に感化されて自分のバイブルに・・・という経験が残念ながらなくて・・・。
by のろ (2011-04-14 23:42) 

ソニックマイヅル

ものすごくわかります。付録が楽しみでした。夢がありました。
そんなに難しいことではないのですが、そんなことが今の生活の中で忘れられているのではと思います。

私の思いの中で自分が小さい時に受けた感動を何とかして今の世代に感じてもらえるように行動したいなと思っております。^^;
by ソニックマイヅル (2011-04-14 23:43) 

大将

悲しいかな例外はあれども
親は…とくに母はいつも子供をおもう強くやさしい存在ですね
by 大将 (2011-04-15 07:58) 

hidechan

のろさん、ありがとうございます。
・・・バイブル といわれるとちょっと恥ずかしいですが、でも、云われてみれば、私の中ではそんな位置付けが正しい本かもしれません。

「熱しづらくて、冷めにくい・・・」
私はこんな感じなのかな・・・(笑)

興味がわくまでは、結構時間がかかります。
あれこれ考えたり迷ったり・・・
でも、一度はまると、結構そこから逃げられなくなる・・・

久しぶりにカビくさいこの本を開きましたが、途端に、買ってもらった頃の断片的な記憶が芋づる式に甦ってきています。
やっぱり、大切な本です。

by hidechan (2011-04-15 11:36) 

hidechan

ソニックマイヅルさん、ありがとうございます。

付録、楽しみでしたね 本当に!!

小学○年生は、切取線に沿って厚紙を切り抜いて、「山折り」「谷折り」を間違えないようにきちっと折って組み立てていく・・・

東京タワーや、新幹線、SL、アポロ、月着陸船 等々・・・
すぐ壊れちゃうんだけど、組み立てるのは本当に楽しかったです。

確かに今は、こんな「紙」の付録なんて、無いのでしょうか・・・
物を造る楽しみ を教えてくれるようなもの 見なくなりました。

何でもソフトでできちゃうし、バーチャルな世界 が普通の世の中ですね。

記事で紹介した、森政弘先生の「仏教」の本の冒頭にも、ロボコンを始めた頃のお話しがあるのですが、
「・・・青少年が、物作り三昧にひたることによって、劇的に心が変化する。 もの作りは人作り・・・」

こういうこと、大切ですね。
何とかして、このワクワクする感じ を伝えていきたいです。
by hidechan (2011-04-15 11:50) 

hidechan

dendenmushiさん、ご訪問&niceありがとうございます。

by hidechan (2011-04-15 11:52) 

hidechan

misttaさん、ご訪問&niceありがとうございます。
by hidechan (2011-04-15 11:53) 

hidechan

大将さん、ありがとうございます。
・・・そうですね・・・
お袋の存在って、大きいなぁ・・・って、改めて感じています。

でも、「例外が多い」 嫌な世の中ですね。
by hidechan (2011-04-15 11:57) 

mistta

私も付録を愉しみにしていました。
by mistta (2011-04-15 13:01) 

TAKA

おはようございます
わたしも、同じく、「まだかな?まだかな?学研のおばちゃんまだかな?」の口でした。子供にも買ってやろうと思っていた矢先、廃刊になったとの
ことで、代わりのものを探しています。

by TAKA (2011-04-16 06:34) 

hidechan

yangt3さん、ご訪問&niceありがとうございます。
by hidechan (2011-04-19 13:30) 

hidechan

misttaさん、ありがとうございます。
雑誌本体の内容はほとんど覚えていませんが(!)、付録の思いでは、結構残っています・・・
by hidechan (2011-04-19 13:31) 

hidechan

TAKAさん、ありがとうございます。
昔のように、「作る行程から楽しめる」付録って、見なくなりました。
何でもインターネットで調べることができる時代ですが、実際に自分の手で作りながら学ぶ・・・というのは、どの時代でも大切なことだと思っています。
by hidechan (2011-04-19 13:35) 

hidechan

たかれろさん、ご訪問&niceありがとうございます。
by hidechan (2011-04-20 23:17) 

アスラン

とっても楽しく、また感慨深く読みました。
おそらくhidechanさんは僕と同年代だと思われますが、まさに自分が書いたのかと思うくらいに、自分の子供の頃の思い出が描かれていてびっくりしました。

僕も近所の商店街の本屋で「小学○○生」を購読し、小学校に販売しに来る「科学」と「学習」のいずれかをやはり購読していました。おそらく圧倒的に「科学」を買う事が多く、サイエンスへの興味は子供の頃から高かったのだと思います。

当然ながら、hidechanさんが書かれているNHKの少年ドラマも楽しみに見ていました。特に伊能忠敬と出会って、測量機をいじっているうちに壊してしまい、それをなんとかなおそうとするというエピソードは今でも心に焼き付いています。ドラマと共に、まさに「からくり儀右衛門」の児童書も読んでいます。感動のあまり小学校の読書感想文にも書きました。おかげで、今回どの本だったのか確定したので図書館で借りて読み直してみようと思います。本当に感謝します。

ところが、奇遇な話はまだまだおわりません。「からくり儀右衛門」との縁もあって、僕の工学への進路が開かれて、紆余曲折はあったのですが、東京工業大学に入学しました。そして、森政弘教授が在籍されていた制御工学科に進みました。なので、森先生の授業も受けています。とってもフランクで、わかりやすい「ひらめき」を大切にされている、独特な親しみが感じられる先生でした。

森先生が「ロボコン」の創始者である事は確かにそうなのですが、先生が始められたのは「電池1個で人一人が乗って動く、なにか面白いものを作ってください」という課題をグループに分かれて、一生懸命考えて実際に作って披露するという「創造工学」の演習でした。僕らのグループもコマのような乗り物を考えて、そして大失敗したのですが、それも今となっては良き思い出の一つになっています。

 先生の授業では、最初に「半眼」になって瞑想するのが習慣になっていました。その頃から先生は仏教のいいところを工学の「ひらめき」と結びつけて考えていたように思います。先生がまだお元気に執筆されているのを知ってうれしくなり、つい長いコメントになりました。どうもありがとうございます。
by アスラン (2011-06-03 06:18) 

hidechan

アスランさん、おはようございます。

・・・アスランさんからのコメントを読ませていただき、今、鳥肌が立つ想いです。

きっと、ほぼ同世代 ですね。(1960年生まれです)

「からくり儀右衛門」 ご覧になっていらっしゃたんですね。
(また、鳥肌です・・・)
伊能忠敬の「量程車」を壊してしまったあたりは、本当にドラマチックでしたね。
・・・子供だから、それまで色々と造ってきたものは、大体 「木」か「紙」・・・
ところが、「量程車」は、耐久性が要求されるので、歯車等はすべて金属。
(書き始めると長くなってしまいます・・・)

・・・その後がすばらしいです・・・うらやましいです・・・

森政弘先生の研究室で直接 研究をされたんですね・・・
私は残念ながら・・・ 東工大に進学することはできず、芝浦工業大学 電子工学科の制御工学研究室で、ジャイロを使った実験に明け暮れていました。

>先生が始められたのは「電池1個で人一人が乗って動く、なにか面白いものを作ってください」という課題

そうでした。 良く覚えています。

>先生の授業では、最初に「半眼」になって瞑想するのが習慣になっていました

・・・なるほど・・・
先生の講義では、普通に取り入れられているんですね・・・
今回手にした本は、仏教 と工学 が、全く違和感無しに読み進めることができて、もっと若い頃に気が付いて読んでいたら・・・と、ちょっと後悔の念にとらわれています。

ありがとうございました。
今後とも、よろしくお願いいたします。
by hidechan (2011-06-03 09:54) 

アスラン

1962年の早生まれです。予想通り、かなり近いですね。

少し誤解を解いておくと、僕自身は森教授の研究室の所属ではありません。だいたいが、学部3年から所属する研究室には1学年2人ずつだったので、ジャンケンで行き先を決めていました。

森先生には、先のメールでお話しした授業や、卒論や修論の審査の際にお世話になりました。僕自身は「ひらめき」がある方ではないのですが、「ひらめき」にいたるまでのプロセスや、「ひらめき」自体の面白さに惹かれて、課題として出されたレポートにいろいろと思いついた事を書きつづりました。

たまたま僕の意見が気に入ってくれたものが、ちょうど先生が執筆中だった本の一節に採用されて、お礼にその本を一冊いただきました。おそらく「非まじめ思考法」だったように思われます。

ところで、hidechanさんのお返事を拝見するついでにコメント欄を最初からざっと読んでいて、僕も鳥肌が立ちました。巣鴨のスイミングスクールに通っていたというコメントの、以下のくだりです。

 「バスしかなかった私が住んでいる街に都営地下鉄が開通し、」

あれ??すごくご近所だったのかなぁ。僕の実家は「板橋区役所前」にあります。巣鴨まで20分という事は、志村坂上とか?蓮根とか?いずれにしろ、びっくりです。こちらこそ今後ともよろしく。
by アスラン (2011-06-05 22:40) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。