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昨日の、野球界の「キムタク」の、あまりにも若すぎる訃報・・・ [日記・雑感]

私は、プロ野球はとにかく大好き というほどではないのですが、私の親父が、実は広島東洋カープの熱烈なファン(自称「オーナー」)なのです。
(生まれ故郷の大連・北京から広島に引き上げてきたので)

なので、子供の頃から、ビールと枝豆で、夏のナイターを楽しそうに見ている親父 が、夏の記憶には必ず居ます

広島球場(今は広島市内の北部に移転して、とてもきれいな球場になりました)の試合前のシートノックで、なんの前触れもなく、バタッと倒れてしまった映像には、本当にビックリしてしまいました。

その後、広島市内の病院に搬送されるも、くも膜下出血 で、結局 搬送後3日で亡くなってしまった・・・

実は、「くも膜下出血」 は、私たち夫婦には、とても辛い思い出があるのです。

私が医療機器メーカーに入社し、配属が大阪(堺市)になったことは、これまでにも何度か記事で書かせていただいた覚えがあります。

で、堺市の営業所に配属になって4年目くらいの時、初めて私が付いた上司(所長)が、山陰に異動になってしまったのです。
その後任として、群馬県富岡からいらっしゃった所長さん、とにかく身体がデカイ 100キロはあったんじゃないかなぁ・・・ でも、とても細やかで、繊細で、手先が器用で、人なつっこくて、着任後まもなく、皆から好かれる所長でした

当時、中学生になる一人息子さんも、私たち営業員もみな若かったので、休みになると所長のご自宅に遊びに行っては、奥様の手料理をご馳走になったり、夏祭りの時には私たちを呼んでくれて、本当に、「家族」のように私たち新米社員と接していただきました。

夏のある日、この所長さんが、テリトリー内のとある国立病院の心カテの立ち合いに入っていました。
夕方、カテも終わり、データ整理をしていたときに、突然カテ室で倒れたのです

でも、しばらく病院の空きベットを借りて休んで、「もう大丈夫です」と、自分で車を運転して、自宅まで戻ってきたのです。

これが、ある意味「運命」だったのかもしれない・・・

「心カテ室」は、「循環器分野」の領域なので、近くにいたドクターも皆 循環器のドクターだったのです。
ここにもし、脳外科のドクターがいらっしゃったら、事態は変わっていたかもしれない・・・

自分で運転し、自宅に戻ったその晩、激しい頭痛と嘔吐で、奥様が救急車を手配、やはりテリトリー内の、脳外専門のお世話になっているドクターの病院に搬送されました。

実は丁度この頃、私たちは、一人っ子同士の結婚 でもめていて、ようやくそれもなんとかクリアできて、式場も「再度」予約し(ごたごたがあって、一度キャンセルしていました・・・)、直属の上司であるこの所長さんに、お仲人 をお願いし、快くお引き受けいただいたばかりだったのです。
私の親父も東京から呼んで、一緒にお酒を飲んで、あの晩はとても楽しい時を過ごしました・・・
所長さんも 本当に喜んでいただいて、後は結婚式の日を待つのみ・・・という状態だったのです。

夜中に搬送され、私たち営業員にも連絡が入り、皆病院に駆けつけました
CTの結果、くも膜下出血 しかも、破裂した脳動脈瘤の他に、ふたつの動脈瘤も見つかり、即 緊急オペとなりました。

くも膜下出血は、頭蓋骨と脳の間にある「くも膜」に、動脈瘤が破裂した血液が充満してしまう、非常に危険な病気です
くも膜下に血液が充満してしまうと、(頭蓋骨があるので)破裂して溜まった血液が、脳全体を圧迫します
脳の一番中心、最も大切な部分を、「脳幹」といいます。

脳幹は、人が生きていくための最も大切な、生命維持の中枢(呼吸など)をつかさどっている器官です
頭蓋骨で覆われている中で、出血により脳全体が圧迫されると、圧力の「はけ口」は、首のあたりに集中します。
最悪、「脳幹ヘルニア」といって、脳圧が高くなり、中心部である最も重要な「脳幹」が圧迫され、押し出されてしまう状態になります。

応急処置としては、頭蓋骨に穴を開け、圧力を逃がす ということになりますが、脳は人の中でも最も精密で重要な器官なので、一度ダメージを受けると、そのリスクはとても大きくなってしまいます。

夜中の緊急オペはなんとか終わりましたが、危険な状態は続きます。

ICUに移動したあとも、私とかみさんでお見舞いに毎日通いました。
もちろんベンチレータ(人工呼吸器)もつけられ、しゃべることはもちろん、目も閉じたままでしたが、所長の手を握って、「わたしですよ! 所長、がんばってくださいね!」と声をかけると、わずかながら、手を握り返してくれる・・・ 

人の「聴覚」は、最後の最後まで生きていることがわかっています
だから、「脳死判定」の際、「ABR(Auditory BrainStem Response) 聴性脳幹反応」検査も、判定のひとつの要素となっているのです。

身体の他の機能は、もうかなりダメージを受けている が、聴覚だけは、確実に機能している。
だから、声をかけ続ける 励まし続けることによって、状態がよくなる可能性もあるのです

でも、残念ながら、入院して、1週間弱だったかな・・・・
残念なことに、亡くなってしまったのです。

中学生の一人息子、奥さんも、初めての土地で、ようやく慣れてきた頃・・・
男の子だったから、気丈に振る舞っていたけど、最後のお別れの時の号泣は、今でも思い出すとたまらなくなります・・・

くも膜下出血 というか、脳動脈瘤ができる原因は、未だ解明されていない(とおもいます・・・)
脳梗塞とはまた違って、ストレスが原因であることは少しずつわかってきています。

でも、今回、「キムタク こと 木村拓哉選手」が、まだまだ若い年齢で発症したこと・・・
怖いですね。

今回の訃報で、当時のこんな事を思いだしています

ご冥福をお祈りいたします。


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コメント 10

井上酒店

辛い思いでですね。
しかし、僕もネットのニュースでしか知らなかったのですが、結構映像に映っていたようで、嫁さんも衝撃的やったと言ってました。
きっと何だかの症状はあったと思いますが、開幕したばかりですし、今年コーチ1年目と言う事で、無理もあったんでしょうね。本当に残念ですね。ご冥福をお祈りします。
by 井上酒店 (2010-04-08 23:51) 

mistta

今晩は。突然人の命を奪う「死」。
怒りのぶつけようの無いが故に悲しさが増します。
by mistta (2010-04-09 00:10) 

ソニックマイヅル

ジャイアンツファンで、年が同じなだけに、私も相当ショックでした。
前日に頭痛の症状があったらしいですね。
by ソニックマイヅル (2010-04-09 09:19) 

のろ

クローズアップ現代だったかな?特集をしていて、脳動脈瘤は脳ドックを受ければ分かるらしいので、出来るだけ受けておいた方が良いでしょうとのこと。原因はまだよく分かってないけど、遺伝的要素もありそうで、近親者に、脳動脈瘤があった場合は、自分でもうけておいた方が良いでしょうとのこと・・・。
それにしても若くして突然亡くなるのは、つらいものがありますね。
by のろ (2010-04-09 14:02) 

hidechan

井上酒店さん、ありがとうございます。
私も映像は見ていないのですが、シートノックの最中に、バット持ったままばったり倒れてしまったそうです。
前日、頭痛があった というのが、わずかな「前兆」だったんですね・・・

肉体頑強なアスリートでさえ、避けることができない 急襲の病気 本当に怖いです。

私たち夫婦にとっては、「くも膜下出血」という病気、予後の恐ろしさは、痛いほどよくわかります。
「頭」の病気は、現代医学を持ってしても、まだまだ未知の領域が多い ということです。
by hidechan (2010-04-09 17:31) 

hidechan

misttaさん、ありがとうございます。
おっしゃるとおりで、交通事故のように、怒りをぶちまける相手がない 空しいですね。
by hidechan (2010-04-09 17:33) 

hidechan

ソニックマイヅルさん、ありがとうございます。
・・・そうでしたか・・・ 残念です。

今のようなストレス社会だと、避けて通れないこと なんでしょうか・・・
>前日に頭痛の症状があったらしい
身体が発するSOSが、これだけでは、対処できないですね・・・
by hidechan (2010-04-09 17:36) 

hidechan

のろさん、ありがとうございます。
特集していましたか・・・

(最近の医学界の情報、あまり持っていないのですが)脳梗塞 と違って、脳動脈瘤ができる原因は、私もはっきりと伺ったことがありません。

「脳ドック」でMRやCTを撮れば、「瘤ができていれば」すぐに見つかるし、対応できる でも、検査の時に「まだ瘤ができていなかったら・・・」 予知はできない 本当に怖い病気ですね。

  
by hidechan (2010-04-09 17:44) 

soratokaze

EDS血管型は動脈瘤や解離のリスクが高いです。仲間でも動脈瘤を抱えている人、破裂したけど生還した人などがおられます。どんな病気も命に関わってくると深刻ですよね。Hidechanさんの上司の方、キムタクさんのご冥福をお祈りいたします。
by soratokaze (2010-04-09 22:10) 

大将

なかなか良い上司と言う人に出逢える事は稀な中
きっとすばらしい上司で家庭人だったのでしょうね
くも膜下出血というものをなんとなくぼんやりとこんな物と認識
でもhidechanさんの記事を読ませていただくと
恐ろしい病気なんですね
人の死と言う物は若いからとか歳をとったからと言う物は本来無く
みな平等にあるものだと思ってはいますが
頭で考える物と実際では大きな違いは有るもの
人の死はその人のものではなく
残された人がその大切な人の死をどう受け止める物なのかというものとは
仏教で言われるもの
でも、、、
家族が号泣し、残されたお子さんが悲しむ姿は見たくは無いものですね
by 大将 (2010-04-26 19:08) 

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